夏野菜の競演
日ごとにまぶしさを増す陽ざしのもとで、彩りも豊かな夏野菜が旬を迎えています。夏の献立は、野菜が主役の三品が競演します。加賀太胡瓜は、器と素材の一本二役です。小舟のような器役の太胡瓜に、太胡瓜と鱧の梅肉和えと太胡瓜の鰻ざくをそれぞれ盛りつけました。太胡瓜の味わいの二重奏と、鱧と鰻の二重奏が重なります。
玉手箱の蓋を開けば、手毬のような夏野菜が顔をのぞかせます。薄味で炊き上げた冬瓜、南瓜、蓮根、茄子、人参が、あでやかな夏色で目を楽しませてくれます。各々の持ち味が詰まったひとつひとつの野菜手毬を、よく冷やして召し上がっていただきます。
その名とは裏腹に和の夏を代表する冬瓜は、古くから暑気払いの食べ物として親しまれてきました。薄味に炊き、百合根の裏ごしを丸にとって茶巾にしぼって蒸したものに、フォアグラとキャビアを添えてあんかけにした豪華な一品です。こちらは、あつあつの蒸したてを味わっていただきます。